水素 2021 5 4 Greenery Day
最近は、水素エネルギーのニュースが増えました。
それは、宇宙にも地球にも豊富に存在するからでしょうか。
しかし、水素を利用するのは簡単ではありません。
地球には、水素が、単体では、ほとんど存在しないからです。
普通は、水を電気分解して、水素を取り出します。
しかし、水素は、保存することが難しいのです。
水素は、原子1個と電子1個という小さな元素なので、
たとえ話をすれば「いつの間にか、どこかに逃げてしまう」ので、
どうやって保管するかが問題になります。
よく言われるのは、「水素吸蔵合金」に吸収させて保管するのが安全ですが、
水素吸蔵合金の開発と商品化は、難しいかもしれません。
そうすると、超低温による水素の液化が考えられますが、
これが、意外にも難しいかもしれません。
液化自体は可能でも、
問題は、液化の状態をうまく保つことができるかが問題です。
水素は、陽子が1個と書きましたが、
陽子というものは、スピンしていて、
上向きのスピンと下向きのスピンがあります。
水素分子を考える時に陽子が2個となりますので、
組み合わせは、4通りとなります。
水素分子には、「オルト水素」と「パラ水素」があります。
スピンの向きが同じ水素分子と逆の水素分子です。
これは、オルト水素とパラ水素の問題と言われます。
スピンの向きが逆になっている分子のほうが安定的です。
液化したばかりでは、オルト水素が残り、
オルト水素からパラ水素に変わる時に、熱が発生します。
これでは、せっかく液化して水素を封じ込めたのに、気体に戻ってしまいます。
もちろん、解決法もあります。
この話は、「水素がわかる本」(小波 秀雄)にあります。
ところで、水素は、金属に対して問題を起こします。
水素は、小さな元素なので、金属原子の結晶に潜り込んでしまいます。
そうすると、「水素脆性」という問題が起こります。
つまり、金属が弱くなってしまいます。
こうしてみると、水素は、自然界には、
単体として、ほとんど存在しないので、
工業的に作るしかないという問題と、
どうやって保存しておくかという問題があります。
つまり、水素単体での利用は難しいかもしれません。
そうすると、電気を主要エネルギーとして利用するのか。
しかし、電気を作るには、原子力発電所や火力発電所が必要です。
多くの人は、太陽光発電や風力発電を考えるでしょうが、
電気を貯めておくことができないという問題があります。
つまり、晴れの日は電気を作りすぎ、
雨の日は電気が作れないというのでは、工業用には利用できないのです。
工業機械は、安定していて精密な電力が必要になるのです。
いつの日にか「超伝導蓄電システム」が完成するのかもしれません。